〜AGM-84〜


スケールは1m

AGM-84は米海軍の主要対艦ミサイルとして生まれ、空軍では遠洋対艦ミッションの要として、B-52搭載するためAGM-84Dが採用されました。
任務が任務だけあって、ほとんど海軍の領域ですが、F-15EはAGM-84Dの運用能力を持ち合わせています。

AGM-84の飛行プロセスは大きく分けると二種類あります。
まず一つ目が高空巡航モード。高空巡航モードの特徴としてはテレダインターボジェットエンジンの300Kgの推進力を、最大限に発揮することが出来、亜音速を維持したまま60海里を 飛翔/滑空することが可能です。
艦載防空ミサイルで60海里先の航空機を攻撃することの出来る物は非常に限られているため、艦載防空兵器の射程圏外から攻撃を加えることが出来ます。
但し、ハープーン自体がその防空網を突破して目標艦船へ突入しなければならないので、ミサイル自体が迎撃されてしまう可能性が大であり、自らの脅威が低下する分、目標側には迎撃を行うチャンスを生み出してしまいます。

もう一つがシースキミングモード。
シースキミングの特徴は、地形追随飛行と同様、水平線の下側に隠れてレーダーの被探知を極力避けられるところにあり。艦船側はミサイル接近の探知が遅れるため、一秒の遅れが命取りにもなる、コンマ数秒単位の非常に厳しい迎撃戦を強いられます。過去、シースキミングを行う対艦ミサイルにより何隻もの大型艦船が大破・撃沈されています。

しかしながら空気密度の大きい低空を巡航するため、同じ推力でもより多くの燃料を消費し、空気抵抗が大きいので速度の低下にもつながるので、早い話が射程距離が大幅に短縮してしまう欠点があります。
この条件では60海里の射程を期待することは出来ません。せいぜい20海里が良いところでしょう。発射母機はより接近しなければならないため、自身への危険性も大きくなってしまいます。
とは言うものの、艦船の防空能力は強大です。高高度巡航にしても迎撃されるのがオチであり、まず成果は見こめないので、シースキミング巡航させるのが基本です。

シースキミング巡航の場合、さらにスキミングとポップアップという二種類の命中プロセスをがあり、スキミングモードは低空を飛行したまま艦体側面へ着弾します。ポップアップは目標手前で上昇し、降下しつつ艦体上部構造へ着弾します。ポップアップの場合、命中率の向上も見込めますが、迎撃されやすい難点も持ち合わせます。

誘導方式は中間が慣性誘導、終端がアクティブレーダー誘導で、発射後は一切母機による誘導支援を受けない完全な撃ちっぱなしミサイルです。

発射はAN/APG-70レーダーをAG(対地レーダーモード)にし、サブモードをGMT(動目標探知)に設定する必要がある(と、思われる)。任意の目標にカーソルを合わせてロックオンして追尾します。この時点でハープーン側に目標の位置と速度が記憶され発射の準備が完了します。ロケットブースターによる急激な加速をするわけではないので、発射と言うよりも投下と言う方が良いかもしれませんが。
発射後ハープーンは母機から受け取た飛行プロセス/目標データを元に亜音速で予想着弾点へと慣性誘導されます。予想着弾点まで約10海里時点でアクティブシーカーが起動しロックオン。終端誘導に入り、自前のレーダーにより自律誘導が開始されます。

さらに、F-15E自身が目標艦をレーダーロックせずに発射させることも可能です。この誘導モードの場合、アクティブシーカーの起動タイミングを、10海里、20海里、30海里等、任意の値に設定してから発射します。発射されると、ハープーンは設定された巡航高度に上昇・下降し、慣性により直進します。設定された距離まで到達するとアクティブシーカーを起動し海面走査を開始し、最も近くに存在する艦船をロックオンして終端誘導に入ります。この、最も近くに存在する艦船とは、友軍艦も含まれます。

どちらの誘導方法でも、シースキミングの場合はハープーンのアクティブシーカーがレーダーロックを完了するのに時間が掛かります。ミサイルの探知を遅らせられる代わりに、敵艦をロックオンするのも遅れてしまうため、誘導行えるチャンスが減ってしまいます。もっとも、亜音速で飛翔するミサイルにとっては水上艦が回避行動をとっても、その速度差からは止まっているも同然ですが。

AGM-84ハープーンは、艦上発射型の主力艦対艦ミサイルRGM-84、潜水艦発射型のUGM-84、空対地攻撃型のSLAM/SLAM-ER等、数多くの派生型が生まれており、これら派生型も含めると、世界でも圧倒的に多く使用されている対艦ミサイルです。

名称 AGM-84D Harpoon
用途 対艦攻撃
重量 670ポンド(301キログラム)
全長 12フィート7インチ(3.79メートル)
直径 13.5インチ(34.29センチメートル)
操縦翼幅 3フィート(91.44センチメートル)
弾頭 488ポンド(221キログラム)爆風貫通弾頭
エンジン テレダイン・ターボジェット 推力300Kg
誘導方式 中間:慣性誘導
終端:アクティブレーダー誘導
最大射程距離 60海里
単価 720000ドル(792万円)







当ホームページはフレーム対応ホームページです。