AN/APG-70
対地レーダーモード

対地レーダーモードでは最大探知距離は80海里で、他には無い特徴的な対地マップレーダーモードがあります。
AN/APG-70は非常に優れた地上マッピング能力を持っており、地表で反射したレーダー波をコンピューターが処理しMFDに写真画質とも言える高解像度で高コントラストの地形を表示します。手っ取り早く言うと「神の視点」から見た地図を作り出す事が出来るのです。地上攻撃が主任務のF-15Eにはまさに必携の能力といえるでしょう。
それも合成開口レーダー(SAR: Synthesized Aparture Rader)と言う通常のレーダーとは違う特殊なものであり、F-16のAN/APG-68や他のレーダーと比較しても桁の違う解像度を誇ります。

写真を撮影するカメラは、基本的にレンズが大きければ高分解能な写真が撮影できます。レーダーもそれと同じであり、アンテナ径が大きいほど分解能は大きくなります。しかし戦闘機に搭載するレーダーを大きくするには限りがあるため、合成開口レーダーはそれを擬似的に再現したものです。

後述しますが地図を作る際には数秒間の時間が必要です。その数秒のあいだにF-15Eは飛行していますから当然移動しています。移動した分位相をずらしたレーダー反射波が何パターンも得られます。得た反射波を合成することによって擬似的に大きなアンテナで走査したのと同じ分解能で表示ができるのです。

■RBM/HRM合成開口レーダーモード

レーダーがめいいっぱい首振りしてスキャンした広域のRBM(Real Beam Map)モードの画像から、カーソルを動かして任意のエリアを選択します。HRM(High-Resolution Map)合成開口モードへと切り替わりレーダーは3〜5秒間そのエリアを重点的にスキャンし、大まかな地図が出来あがります。その地図から任意のエリアを選択するとその狭い領域を3〜5秒間スキャンし、さらに詳細な地図を作り出します。しかし機首を中心とした8度の円錐内は死角となっており地図を作り出すことが出来ません。
RBMモードからエリアを選択 地図が出来上がりさらに詳細図を作る
ロックオンすると△マークが表示される ロックした目標をLANTIRNが補足する
Jane's F-15のゲーム画面(実際はもっと鮮明)

このHRMモードの地上マッピング能力は恐るべき事に、80海里先での解像度は13mであり、40海里で5.2m、20海里での距離では0.67nmX0.67nmの面積のマップでは解像度もメートル単位になり超高精細地図が作製できます。ストライクイーグルのクルーは「50海里先の俺の家の画像が数秒で出来あがる。家の前に車がいるかどうかもわかる。」と、愛機の素晴らしさを誇らしげに語ります。

■GMT/IGMT地上動目標レーダーモード

(GMT:Ground Moving Target)レーダーモードは地上を走行している戦車などの車両を補足するために用いられます。静止している車両や、建造物を探知することはできません。IGMTレーダーモードはRBM/HRMレーダーモードとGMTレーダーモードをあわせたもので、静止目標、動目標のどちらも探知することができます。

■SEA海上レーダーモード

海上の艦船を探知するために用います。水平である海上に存在する異物(艦船)を走査するもののため陸上ではクラッターだらけになり使い物にはなりません。

■TF地形追随レーダーモード

TF(Terrain Following)レーダーモードは目標の探知に用いるのではなく、前方の地形を探査します。詳しくは地形追随飛行を参照してください






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