〜湾岸戦争〜



かれこれ10年も前に行なわれた戦争。当時小学生で戦闘機には全く興味の無い私の記憶にも鮮明に残っています。毎日テレビのニュースではエンジンから青白い炎を出し離陸する戦闘機が放映されており、特に「ステルス」という「見えない戦闘機」が、まるでシューティングゲームのような弾丸の雨の中を飛行して一発の弾も命中せず、TVに映し出された建物に爆弾が命中し爆発していくと見たときは驚きでした。(小学生当時に思った事で、今ではありません。)
F-15Eストライクイーグルは、2個飛行隊48機がサウジアラビアに展開しました。
残念ながらF-15Eは対空砲火と地対空ミサイルにより、それぞれ1機の合計2機が撃墜されてしまいました。

開戦前、イラクは「攻撃を加えた場合は報復としてイスラエルとサウジアラビアにスカッドを発射する」と宣言。これにはイスラム教のアラブ諸国と宗教的対立状態にあるユダヤ国家イスラエルを戦争に巻き込む事で、多国籍軍の同盟を崩そうとする意図があります。事実、イスラエルやサウジアラビアにスカッドが発射されました。

このスカッドと言う弾道ミサイルは命中率がすこぶる悪く、目標の破壊・無力化を達成するには核生物化学、いわゆるNBC兵器が必要と思われたことからスカッド狩りは、俄然その重要性が高まりました。イラク側は昼間はミサイルランチャーを隠蔽し、夜間に外へ出して発射するので夜間攻撃能力が高いF-15Eにその白羽の矢が放たれたのです。湾岸戦争でのF-15Eの活躍は主に「スカッドバスティング」とか「スカッドハンティング」と言われています。
ミサイル発射後は、ランチャーの位置がわかるので破壊するのは簡単ですが、F-15Eの任務は「発射前に発見し即撃破」と言う厳しいものでした。

夜間にスカッドが存在する疑わしい場所を2機編隊でパトロールし、陸上監視のAWACSとも言える統合監視目標攻撃レーダーシステム、E-8ジョイントスターズの指示を受けて誘導爆弾による空爆を加えました。
イラク軍も黙ってやられるわけにはいきません。スカッドを隠蔽するためにスカッドを模したバルーンやタンクローリーを囮として配置し、被害を極力抑える戦術が実行に移されます。
戦後明らかになったのは、破壊を確認したスカッドの数の割にはスカッドの生き残りが多かったということ。つまり、イラクの囮戦術は見事にその役割を遂げて米軍は破壊した囮も破壊数に含めていたことになります。スカッドランチャー破壊の報告を全て合計するとイラクの保持しているスカッドランチャー数より多いという矛盾した結果が記録されており、地上目標の選別と爆撃効果判定がいかに難しいかということを物語っています。
しかしながら、スカッドミサイルの発射数は開戦から明らかに減少しておりF-15Eはその厳しい任務で成功を収めましたと言えるでしょう。この成功により名高いスカッドバスターとして知られるようになり、他にも通信指揮施設や橋梁の破壊といった戦略目標の破壊も行なって、こちらも大きな成功を収めました。


1000両もの戦車や装甲車両を持つイラクの精鋭である大統領親衛隊への空爆も実行されました。当初、これらへの空爆はF-16が担当していたのですが誘導爆弾の不足によりF-16は専ら無誘導爆弾を使用し、対空火器を避けるため高高度から攻撃を加えていたためにほとんど戦果があがりませんでした。
そのため、誘導爆弾の使用できるF-15Eにも「戦車狩り」任務が割り当てられることになったのです。E-8 J-STARSの指示を受けて、進軍(撤退)する戦車部隊の存在する空域に誘導されたF-15E編隊2機は、それぞれGBU-12 500ポンド誘導爆弾を8発搭載して戦車狩りを行ったある例では、合計16発のGBU-12レーザー誘導爆弾で16両の戦車を破壊するという前例の無い大戦果を上げるという比例の無い大戦果を記録しました。


戦闘空中哨戒(CAP)も行いましたが敵機撃墜記録はヒューズ500ヘリコプターを撃墜したのみです。
しかし同じ制空能力を持つ兄弟であるF-15Cが多数の撃墜を記録しております。(撃墜記録についてはF-15A/C項参照。)
なお多国籍軍全体による空対空において被撃墜はMiG-25によるF/A-18C1機のみでした。






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