〜バリエーション〜

□F-15E STRIKE EAGLE


米国の使用するF-15Eストライク・イーグルのベーシックバージョン。
概要・詳細については当ホームページを参照してください。
2000年現在231機が調達済み。
バージョン 会計年度 調達数
ロット1 1986年 8
ロット2 1987年 42
ロット3 1988年 42
ロット4 1989年 36
ロット5 1990年 36
ロット6 1991年 36
ロット7 1991年 6
ロット8 1992年 3
ロット9 1996年 6
ロット10 1997年 6
ロット11 1998年 5
ロット12 2000年 5
合計機数 231


□F-15F

対地能力を一部縮小し、空対空を拡張したF-15Eの単座バージョン。構想のみで製作されることはありませんでした。

□F-15G

ギリシャ向けのF-15E。提案のみで終了。同国はタイフーンの採用を決定。

□F-15H

空対地能力を一部無くした機能制限輸出バージョン。
F-15Sにより取って代わられました。

□F-15I


F-15Eのイスラエルの輸出バージョン。愛称はRaam(ラーム:稲妻)
1998年より1ヶ月あたり1機(2ヶ月に2機)まで25機が調達されました。
しかしJTDISやTEWSといった戦術電子戦システムは外され、全体的なレーダーやレーダー警戒受信機等アビオニクスはイスラエルによって新しくシステムが再構築されています。
F-100-PW-229エンジン、APG-70レーダー、ホログラフィ広角HUD、LANTIRNポッド、レーザー慣性航法装置、超高速集積セントラルコンピューターといったものはF-15Eと同一です。

□F-15K


韓国空軍F-X計画においてボーイングが提案したF-15E。F-4D/EファントムIIの後継としてラファール、タイフーン、Su-35らと競合。
2003年3月、最終選考においてラファールとの比較の結果、両機の性能差は3%に満たず、これは誤差範囲であるとの結論がだされ、”政治的諸事情”によりF-15Kの採用が決定されました。総額45億ドル、40機の調達が見込まれています。”政治的諸事情”に反発したダッソー社及び韓国内の一部団体が、選定において不正があったと抗議行動が行われました。


2004年6月1日、F-15K 1号機は最終組立作業に入り、同年10月に1号機は完成しました。


翌2005年3月3日にはボーイングのチーフテストパイロットJoe Felock氏とチーフ兵装システム士官Rick Junkin氏らが搭乗し1号機は初飛行を行いました。マッハ2までの加速、エンジンの空中再始動などの運用試験も実施されました。なお、写真を見ても分かるように、コンフォーマルタンクを装備しておらず、垂直尾翼のTEWSポッドの装備もみられません。おそらくFCSやECM関連のアビオニクスはこの時点では搭載していないと思われます。


そして3月16日にボーイングのセントルイス本社においてF-15Kのロールアウト式典が実施されました。韓国からは李漢鎬(イ・ハンホ)空軍参謀総長らが出席しました。
ロールアウト式典ではLANTIRN、AIM-120A、AIM-9X、JDAM、AGM-84H SLAM-ER等の最新の武装が施され本機が最新のマルチロールファイターであることを誇示しております。
LANTIRN装着パイロンに従来のストライクイーグルには無いなんらかのセンサーらしき物が見られますが、おそらくIRSTであると思われます(私個人の想像に過ぎませんが)。

F-15Kはボーイングの主張どおりであるならば極めて強力なイーグルとなる可能性を秘めています。主な性能は以下のとおり。


以上のように、主に空対空の面で大きな性能向上が行われており、F-15としては最高の部類に入る性能を持ち合わせています。

日本やサウジ、イスラエルが採用を決定した時代はF-15に匹敵する戦闘機は存在しませんでした。そのため電子戦システムの供給を行わないなどダウングレードが施されても「F-15を配備する価値」は失われませんでした。
しかし、現在ではF-15よりも一世代後の戦闘機が多く生産されています。こうした新機軸の装備を投入しないとラファール等最新鋭機に対し明らかに劣るため、F-15を売り込むためには最新アビオニクスを「輸出せざるをえない。」という所が本音だと思われます。
本国アメリカのイーグルをも多くの点で上回るアビオニクスの充実度が最終的にラファールを押しのけた直接的な理由でしょう。

日本と韓国は隣国であるため、F-15J/DJと比較される事が多いイーグルでありますが、F-15Jは高い評価を受ける航空自衛隊独自の電子戦システム(J/TEWS等)を装備するなど異なる点が多いため、一概にどちらかが優れていると決める事は不可能ですが、F-15J近代化改修で装備されるIRSTやAN/APG-63(v)1、などを標準で装備している上、F110-IHI-100よりも2基で60kN近く上回る推力を持つF110-STW-129を装備するなど、侮れない戦闘機である事には間違いないでしょう。

なお、本F-15KはF-4ファントムの後継として配備される戦闘機でありますが、韓国ではF-5E/FタイガーIIの後継機F-Xを控えており、ボーイングでは2008年に終了してしまうストライクイーグルの生産ラインを存続させるため、前倒しでの追加契約の売り込みを行っております。

□F-15L

イスラエル空軍向けの機能制限安価版F-15E。
提案のみで実現はしませんでした。

□F-15S

空対空・空対地の一部能力を無くしたF-15Eサウジアラビアへの輸出バージョン。
空対空ミッションに最適化されています。

搭載しているAPG-70レーダーは、APG-63程度にダウングレードされ、オリジナルと比較し地上マッピング能力に劣るものとなっており、ECMが外されLANTIRNを使用したナヴィゲーション、照準能力も共に劣ります。

□F-15T


シンガポール輸出向けストライクイーグル。
2004年現在、ラファール、タイフーンとともに最終選考中。F-15Tはラファールやタイフーンに比べハードウェア的な多大な搭載能力やレーダーの出力の高さや電子戦システムによる空対空能力及び空対地能力双方に優れており、さらに現在主力である米国製装備をそのまま使用できるアドバンテージがあります。なおF/A-18EF,F-16CDBlock50,Su-35,グリペンは脱落。
いずれかの24機を調達し、現在配備されているA-4SUスーパースカイホーク40機を代替する予定。選定終了は2005年、調達は2008年からと予定されています。またシンガポールはJSF計画にも参加していますが、これはまた2015年前後より退役する予定のF-16Aを代替する別の計画であるため、A-4SUには影響する見通しは少ないと思われます。
現在アメリカ空軍に所属する2機のF-15Eがシンガポールにリースされており、試験運用を受けています。

主なF-15Tの仕様は、まずAN/APG-63(V)3アクティブフェイズドアレイレーダーの搭載、アメリカ空軍以外で最初にAESAを搭載するF-15になる可能性があり、さらにF-15Kでも輸出が認められたAN/ALQ-135M TEWSにIRST、JHMCSを標準装備し非常に高い空対空戦闘能力を持つと推定されます。
またエンジンはF100系では最新で最も推力の高いF100-PW-232(AB使用時15.4t)の装備が予定されています。

□F-15SE

米空軍向けのF-15E単座型。提案のみ。

□F-15U

アラブ首長国連邦向けのF-15E。
主翼を換装しデルタ翼になるはずでしたが、アラブ首長国連邦はF-16Block60を採用し計画は中止に。
兵装搭載ステーションがさらに増やされ、IRSTのようなものが装備される計画でした。




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